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April 06, 2009

阿修羅展

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「歴史」に詳しい友人に誘われて、「阿修羅展」に出かけてきた。

「阿修羅って何者なの?」
「人間?男?」

それほどの無知状態で、ただただ姿かたちの不思議な魅力に惹きつけられて、実物をこの目で確かめたいとの単純な思いで、友人にくっついて行った。

天平時代につくられた、奈良・興福寺の八部衆の一つが「阿修羅像」。古代インドの様々な神が仏教に帰依して、仏教や仏教徒を護る神になったものだとか。

その「阿修羅像」は、広い展示室の中央にただ一体、凛と美しい八頭身の姿でスポットライトを浴びていた。
周囲を右回りに歩いて鑑賞してくださいとのこと。(インドでは左より右が尊く、仏に敬意を表す儀礼法であるのだとか)

下から見上げるようにして後ろ姿や左右の表情を見比べてみる。やはり、正面の顔が一番美しく、次に見る右の顔は少し若く、左面が少し年上に思えるのも、右回りで見る事を意識してのことらしい。
美少年と言われている端正な顔立ちと、それにはそぐわない異常な細長い6本の腕さえも、伸びやかで美しい印象を受けるのは、何故なのだろうか。

守護神でありながら、「阿修羅」という響きは、何故か「悪」を連想させる。特に興福寺の阿修羅像は美しい姿で、見る人を混乱させる。

資料によると、かつて「阿修羅」が仏教に帰依する以前は常に戦いを挑む激しい神で、悪業ばかり繰り返していた。それを修業を重ねることによって「懺悔」をすることができて、今のような深みのある思いをたたえた「阿修羅」になったのだとか。
もう少し、時間を取って調べてみたい気分もちょっぴり、湧いてきている。

眉をひそめた表情などをじっくり眺めていると「阿修羅像」は、生命力というよりは、不思議な心の内面や、繊細さ、憂いなどを感じる。
美しくて、神秘的。説明出来ないけれど、ずっと見つめていたい気持ちになる。

いつか、奈良に行って、静かでひんやりとした建物の中で時間の流れを気にせずにゆったりと「阿修羅像」と対面してみたい・・・いつか。

 もうひとつの阿修羅像は、六本の腕を持ち、同時に三つの顔がある。奇怪なすがたである。仏の守護神だが、「阿修羅のごとく」というように、そこには止ることのない八方破れの闘争と、また錯乱があるようだ。顔は一つあればいい。眼も二つでたくさんだ。ところが「第三の眼」を与えられたことが苦痛であるように、三つの顔を与えられたことも苦痛ではないか。この像は身を以てそう言っているようだ。一顔は右を向き、他の一顔は左を向き、どちらも蒼ざめて唇をかんでいる。正面の顔をみると美少年だ。しかし眉をよせ、額にしわをよせて、いらだつような神経質な表情をしている。

 六本の腕の左右二本ずつは、乱闘のすがたを示しているが、正面の二本の腕は、つよい合掌によってむすばれている。神経質な表情をもって、熱心に仏を拝んでいる。錯乱の涯の衷心の祈りのすがたとでも言うべきであろうか。この像は或る物語の象徴化にちがいない。阿修羅像とは阿修羅劇の表現にちがいない。仏師は天平という時代のなかに、それを見たのではなかったか。

                 亀井勝一郎・著

                 「古代知識階級の形成」

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