ついに白内障の手術(2)
手術日の10日ほど前から咳が出るようになり、大したことではないと思っていたのに、日増しに咳がひどくなってきた。
手術は強角膜を5ミリ前後メスで切開するので、眼を少しでも動かすと危険。咳はでたくなったらすぐに知らせてくださいと注意書きにある。普段は滅多に風邪をひかないのに、なにもこんな時期に咳がひどくなるなんて!
内科で1週間後の手術までには咳を止めて欲しいとお願いし、抗生物質を処方してもらった。咳は減ったものの、中々完全とはいかなかった。数日前の診察のあと、先生が「それではとっておきのオマジナイをあげよう!」とシロップを出してくれた。
「これは、手術当日に持っていって、咳が出そうになったら飲みなさい」
きっと強い薬なので、やたらに飲んではいけないということなのだろうが、オマジナイという言葉に子供だましみたいと思いながらもふっと安心感がわいてきた。
手術当日、待合室は手術を受ける人で溢れていた。
その日は一般外来は休診なので、全員がスッピンで緊張した表情の人ばかり。空気もなんとなく重く沈んだ感じで、全員手術着姿の若い看護師さんたちだけがキビキビと活気を振りまいていた。
この小さなクリニックで、赤星先生が執刀する手術はその日一日で30人で40件、(両目の人が10人で20人が片目)だとか。週に2回手術日があっていつもそのくらいの件数らしい。三井記念病院ではもっとたくさんの手術が行われているのだろう。
名前が順に呼ばれ、手術前の検査が始まり、ここで初めて赤星先生の診察を受けることになった。
「普段は、○○先生にかかっているんですね。」
「特に問題はなさそうなので、手術も大丈夫でしょう」
医療技術はもちろん誰もが認めているし、世界を飛び回っている先生だからもっと偉そうにしているのかと勝手に想像していたが、とても患者に対して包み込むような穏やかな笑顔と話方で、良い意味で期待を裏切られ、良かった~!
更に、検査をこなしていくうち、お互いに顔なじみとなって、患者同士で世間話が始まる。
「お宅は両目ですか?」
「どんな経緯でここにきたのですか?」
不安げな人たちが一つのものに向かって集まってきたという感じが、少々古いけれど、映画「未知との遭遇」の場面を思い出してしまった。
「お歳は?」
既に、片目を終わっている人には、
「視力はどんな感じですか?」
「痛くなかったですか?」
あらゆる疑問や不安をぶつけ合って、手術までの時間をそれぞれに過ごしていた。
最終段階になって、手術控え室まで行くと、全員、手術着に帽子を被せられ、目には痛み止めの目薬を何度もさされ、手術中に図るための心電図用のコードを胸に張り付けられ、腕には血圧計が取り付けられ、抗生物質の点滴も始まる。
いよいよ、動きが出来ない状態になって、それぞれが覚悟を決め始める。
「あの~トイレに行きたいんだけど・・・」
「すみません。喉がからからになってしまって、お水が欲しい」
「私もお水ください。ティッシュください」
点滴の針をさすときに怖がって身体をひいてしまった人もいて、看護師さんに「逃げないでください」と注意を受けている人もいたり、皆、最後の抵抗をみせていた。
いよいよ、赤星先生が手術室に入り、順番に呼ばれ点滴をつけたまま、手術室に入って行く。
一番目の患者が本当に数分で部屋から看護師に支えられて出てきた。
「よく見えるようになったでしょ?」
たった今手術が終わったばかりなのに、その男性は嬉しそうにうなずいている。
今手術がすんだばかりなのに、まさかそんな簡単なの?
そのうち、流れ作業のように一人出てくると、一人が入る。
皆、普通に出てきて、看護師さんに誘導されながら、部屋を出て行く。
いよいよ、私の番になって歯科の診察台のようなイスにかけ、シートが倒される。
片目だけ穴のあいた布を被せられ、瞬きをしないように眼の淵を何かで固定される。
消毒用やら麻酔なのか冷たい液体がシャワーのようにかけられて気持ち良い。
「では始めますよ」と赤星先生のやさしい言葉が安心感をもたらしてくれる。
手術中、目が開いているので、白やブルーやいろいろな光が見える。一瞬だけ、光がくるっと回ったような気がしたけれど、もしかしたらその時に眼内レンズが挿入されたのかな?なんて勝手に素人判断をしてみた。
痛みも全くなく、あっという間に終わった。
部屋を出てきて、看護師さんに目の周囲をさらに消毒してもらいながら、「何が見えた?」と聞かれた。
人によって見えるものが皆違うようで、万華鏡のようだったという人が多いらしい。私は明るくきれいなブルーの水の中に真ん中に白くて四角い氷砂糖のかけらのようなものがずっと見えていた。いずれにしても気持ちの良い状態が最後まで持続した。
もう片方を1週間後にするのだが、果たしてその時はどんなものが見えるのだろうか?楽しみな気もする♪
手術直後の視力検査では、0.6だったのが1.0に上がっていた♪
なんだ!白内障の手術って簡単じゃない!
そう思うが、肝心なのは術後のケアだそうで、手術が成功してもそのあと細菌に感染したりすると失明することもあるとか。
術後の注意事項として
1 洗顔・洗髪・化粧は6日間禁止
2 保護用眼鏡(ゴーグル)を睡眠時もシャワーのときも常時6日間装着する
3 酒・たばこは1週間禁止
4 重いものを持ったり、全身に力の入ることは眼の傷口が開くので1か月禁止
5 温泉やプールは2~3か月控える
6 手術した目をこすったりぶつけたりしないように注意
7 手術当日は帰る際は付添の人が必要
8 手術直後しばらくは下を向いたり頭をさげたりしてはいけない。
1日も早く、傷が回復して眼に細菌が入らなくなるまでは慎重であるに越したことはない。
再び、最後の点滴をして終了。お迎えを頼んだ友人に付き添ってもらって我が家に到着。
TVの画面がいつもよりきれいに見えるような気がした。
お化粧をしていない顔がこんなにシミだらけだったんだ~(ショック)
今まで白いと思っていた壁の隅がなんだか黒ずんで見える。
片目だけでもこれほどなのだから、もう片目が終わったらどれだけ見えるようになるのだろうか・・・怖いと思っていた手術がいまから待ち遠しい。


Comments
片方終わったのね。次の手術が待ち遠しいなんて素敵ではありませんか?
新しい世界が開けるかもね。
期待していますよ。
Posted by: Misako | November 12, 2008 at 10:45 AM
Misako様
ご迷惑かけています。
今日も検査に行きましたら、視力は又下がってしまい先生に尋ねたら、「まだ1週間もたっていないのだから、安定していないので、いちいち心配しても始まりません」と言われてしまいました。
明後日にむけて、目薬を5分置きに3種類、飲み薬も・・・病人の仕事で結構忙しいです。
Posted by: SAGAN | November 12, 2008 at 03:16 PM
お知り合いになれて嬉しいです。白内障の手術でこんな素敵な出会いがあるのなんてと思うと心配で心配で怖かった事も今はいい思い出になります。ブログをを読ませてもらって手術の的確な様子と、流れの文にすばらしいと 拍手です 娘に読ませて納得してもらいます。私が話しても様子がいまいち伝わらないようでしたので・・・・。
診察から帰り又日課の目薬さしが終わったところでネットを開けました。パソコン画面が明るくなったような気がします。お互いにせっかく手術した目ですいままで以上にお大事にね。
Posted by: 谷合 芳子 | November 20, 2008 at 01:37 PM
谷合様
まさか、こんなにすぐにblogを覗いてくださるとは思ってもいませんでした。
たしかにパソコン画面がくっきり見えますよね。
目が見えるということがどんなに大切なことか、白内障のおかげで、しみじみ感じることができました。
検査結果は何事もなかったようでよかったですね。
その上、こんな素敵な出会いまで♪
これからが楽しみですね。
白内障仲間としてこれからもヨロシク!
Posted by: SAGAN | November 20, 2008 at 05:49 PM